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無邪気で天然な「善意」こそがコンテンツを破壊するラスボスになり得る恐ろしさ。

本当に始末に悪いのは、悪意ある人間ではなく、善意ある何か、だという実例になりそうなエピソードですね……やれやれだぜ。

社長が訊く『The Woderful 101』
岩田 その段階で、いまのヒーローたちを主人公とするキャラクター像ができたんですか?
神谷 いや、イメージはだいぶちがいましたね。
山上 企画がスタートした当初は『ビューティフルジョー』(※11)のような雰囲気でアメコミ調のダークヒーローっぽいイメージだったんですよ。僕はその画がけっこう好きだったので、「これでいける」と思っていたんですが。
岩田 はい。
山上 アクションゲームが好きな松下さんに「この企画、おもしろいからやらない?」って言って見せたんです。そしたら松下さんが「これは画が暗いから、小中学生にはウケない」みたいなことを、いきなり言ってきたんです。
馬鹿の極みみたいな話ですねえ。
結果が出てないうちに書くのもなんですが、初期のキャラクターデザインの方向性を変更したこのゲーム、そんなに幅広い層に本当に売れるんでしょうか?

マニアックなタイトルの持ち味やフレーバーをスポイルして、狭い層すら買わないソフトにしてしまった実例に思えてなりませんが、皆さんはどんな感想を抱きますか?

任天堂サイドの担当が「自分達はより多くのユーザーに楽しんでいただけるように善意ある提案をしているんだ」という確信を抱いているように見えるあたりが、救いがたい悲劇ですね。

そういう修正提案を心あるクリエイターがどう感じるか。

開発する前の段階で、キャラクターデザインに関して、上記のようなやり取りがあって、それから開発途中で任天堂の担当者へのイメージが変わったそうですが、変わる前はどうだったのか。
岩田 神谷さんから見て、山上さん・松下さんがそろそろと近づいてくる感じを、逆にどう感じていました?
神谷 そこは最初、僕の勝手な想像ではもっとデジタルというか、事務的に要望をオーダーされるだけのイメージがあったんです。
岩田 えっ、それが神谷さんの任天堂のイメージですか?
神谷 「ユーザーリサーチしたらこういう結果が出ましたので、最適なものに変更してください」みたいな感じで言われるのかな、と。
岩田 「マーケティングデータが示しています」みたいな?
神谷 はい。だからそこは意外というか。当たり前なんですけど、「ちゃんと人間味があるんだなあ」とちょっと驚きました。

キャラクターデザインの変更の件をクリエイターがどう受け止めていたか、察せられるエピソードですよね。無論その後で、お互いに理解が深まったようですが、任天堂のそういった無邪気な変更提案が実はどう受け止められていたのか。

もう1つ興味深いエピソードを見てみましょう。

社長が訊く『ゼノブレイド』
山上 そんな感じで、シナリオに関しては高橋さんが考えている世界をどうすればよりお客さんに伝わりやすくなるかということを意識して、客観的に意見をお伝えするようにしていました。
岩田 それはまさに“作家と編集者”の関係ですね。
山上 まさにそう思います。
高橋 やっぱり自分たちだけでつくっていると、どうしても自分たちの趣味や嗜好する部分が出てしまうんです。心情だったり、構成だったり、いろんな局面で、偏った部分を任天堂さんから指摘してもらえたのは
本当にありがたかったですね。
岩田 作家さんは、先鋭的なものを創造する役目で、編集者さんはそこから一歩引いて、「これは伝わるけど、これは伝わらないんじゃないですか?」「それを伝えたいのなら、こっちのほうがよくないですか?」と言って、その指摘でいい方向に向かうのがうまくいっているときの作家さんと編集者さんの関係だと思うんです。その意味で、今回はいい関係になれたということなんですね。
高橋 はい。おかげさまで、RPGファンの人だけでなく、
より多くの人にも楽しんでいただけるソフトになったと思います。

難解な設定の無いゼノシリーズのどこがゼノシリーズなんでしょうか。
結果として『モナド』改め『ゼノブレイド』はファンコミュニティの分裂を招いて、大して売れなかったわけです。というよりゼノファン全員が買うには至ってないんですよ。コミュニティが分裂しちゃったから。

「RPGファンの人だけでなく、より多くの人」って言うけど、そもそも『ゼノブレイド』ってRPGファンの何割が買ったんですか? そもそもRPGファンの人達が取り込めてないじゃないですか。馬鹿馬鹿しいにも程があります。

まー、社長が「高橋監督の本気作だから『ゼノ』を冠した」的なことを言ってたと思いますが、その理屈でいえば、「富野監督の本気作だから『ガンダム』を冠した」と、オーラバトラーやキングゲイナーもガンダムになっちゃうんでしょうか? 馬鹿も休み休み言えって。


WiiUで発売予定に上がっている『ゼノシリーズ新作』は、『ゼノブレイド』の反省を少しは活かしているようで、最初からSF設定やゼノらしい雰囲気を漂わせており、個人的には今度は買おうという気になっていますが、まだ完全に信用できたわけではありません。

ゼノギアスが80万、ゼノサーガが40万ちょいですが、シオンやKOS-MOSはまあデザインとしてもお客さんを選びますからね、そこで狭くなった分やギアスをクリアできなかった人達もいるだろうことを考えると、潜在的には50万以上のゼノファンがいると思うんですよ。EP分割とかで、どんどん売上本数を減らしてしまっただけで、ポテンシャルは結構いる。

ゼノ最新作であれば、50万は狙ってほしい。
しかしその50万は言葉をわかりやすくして達成できるものではない。

ゼノブレイドの「社長が訊く」では、任天堂サイドはクリエイターとの関係を「作家と編集」とかほざいてますけど、作家と編集は組み合わせによっては最悪なわけで。

http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/sx4j/vol3/index4.html
はい(笑)。でも、それはある意味とてもいいことだと思うんです。
やっぱり若いからこそ生み出されるパワーがあって、
それは誰もが必ず通る道であるように思います。
いまでも、かつての自分がそうであったように、
若い世代のクリエイターたちが、
わかる人だけがわかればいいと、
そういう想いでつくられるゲームは少なくありませんし、
そのような作品はゲーム業界にとって必要だと思いますから。

でも、いまの自分に当時のパワー、
ある意味、猪突猛進な無鉄砲さがあるか?というと、
さすがにそれはないと思います。

こういう台詞を読んでしまうと、ファンは不安になってしまうんですよね。
幅広いユーザーに受け入れられるのは正しいという安易な思い込みで、こういうクリエイターの弱気につけこみ、助長してしまうのは、糞編集ですよ。そんなものは編集ではなく、寄生虫というのです。

結果としては、作家の良さを引き出せず、ファンも取り込みきれず、その他のお客さんにも肝心の魅力が伝わりきらない、極めて狭い作品ができあがってしまう。

ちょうど今、テレビアニメが放映中の『ダンガンロンパ』の小高和剛氏へのインタビューを、星海社の太田克史氏がおこなっていますが、太田氏の言葉を読めば、本当の意味での編集の役割がよくわかります。
http://sai-zen-sen.jp/works/sessions/danganronpa-zero-interview/01/01.html
と、まあ、とにかく『ダンガンロンパ』がめっちゃ面白くて、これはなんとしても僕がコンタクトを取らないといけない、と。あと、失礼な話なんですけど、多分こういうのを面白がる人はごく一部だから、僕が音頭をとって盛り上げていかないとまずい! みたいな(笑)。

これは自分が行かないとまずい、みたいな。そう感じるときが時々あって、最初に感じたのは『月姫』の奈須きのこさん、次が『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07さんかな。『シュタインズ・ゲート』の時も少し思ったんですが、これはちょっとアニメ寄りで、大好きなんですけど、僕が関わらない方が多分上手くいくだろうなってところがあって。今回の『ダンガンロンパ』は「とにかく俺が行かなきゃならぬ」という感じでしたね。

小高 「救ってやらねばならぬ」みたいな(笑)。

――それだとちょっと大袈裟なんですけど(笑)。まぁファンと同じですよ。みんなが多分今そう思ってるんだと想像してます。
「キワモノばっかりやってるから星海社は嫌だ」っていう人もいて。ただ、そういう人から嫌悪感をもたれるところを歩いていかないと、10年後にメジャーになれないんですよ。

今メジャーなものをやってても10年後にどうなるかわからない。これは別に強がりじゃなくて、たとえば2000年前後に、「2011年、虚淵玄がその年最も爆発的にヒットしたアニメのシナリオライターになってる」なんて事実、誰も信じないし僕も信じないですよ! ほかにも西尾さん原作のアニメが ゼロ年代で『ガンダム』よりも売れたテレビアニメになってるとか。

劇場系では『ヱヴァンゲリヲン』とジブリのアニメを除けば奈須きのこさんの『空の境界』がDVD売り上げナンバーワンになってるとか、僕がやってきたことって結局はメジャーになってるんですよ。

でも、そうやってメジャーになったのはすり寄る形でそうなったんじゃなくて、あくまでその両方から石が飛んでくるラインを崩さないまま走り抜いた結果としてメジャーになってるってことをこの10年間で証明できたと思ってる

非常に長い引用になりましたが、任天堂という企業がいかにオタク文化を理解できていないかをよく示していますよね。作品の本質をスポイルしてまでわかりやすくするなんてのは、糞の中の糞ですよ。ゼノはガンダムは言い過ぎかもしれませんが、ファイブスターのような存在にはなり得た作品であって、そのポテンシャルを大切にできていれば……ね。

任天堂のクリエイタークラッシャーぶりは、今に始まったことではありませんが……。無邪気な善意ある天然がどれほど始末に悪いのか。「コアゲーマーの敵」になっちまったなあ……というのが残念でなりませんね。しかし自身にはその自覚は無いんでしょうねえ。


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2013-08

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