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美味しい手作り幕の内弁当を作り続ける老舗弁当屋の栄光と挫折。

深刻なタイトル不足が鮮明になっているWiiU。
そんな状況で『ゲーム&ワリオ』が発売されたものの、ただでさえタイトルが足りないのに、なんでこんなにミニゲーム集ばっかり出すのよ?という疑問を抱いていた人も多かったのではないでしょうか。
その理由が明らかになりました。

社長が訊く『ゲーム&ワリオ』

当初は本体内蔵ソフトとして制作が開始され、途中で単独のパッケージソフトに方向転換し、最終的に開発に2年も掛かっていたことが明らかになっています。

ソフト自体の面白さや出来については、本題ではないので、ここでは置いておきますが、実績あるシリーズを手がけてきたクリエイターに、一銭にもならない本体内蔵ソフトを担当させるなんて、本当に頭おかしいですね。3DSの内臓ソフトも、複数の実績あるクリエイターが担当しており、岩田社長はその贅沢感をアピールしていましたが、本体内蔵ソフトとやらが3DSの2万5000円という価格を納得させられたのかどうかは皆さんご存知のとおりです。

そういう意味では、途中でパッケージソフトで出す方向に転換したのは正し……正しいとか間違ってるというより、内臓ソフトとして出すよりマシってだけですね。最初の出発点が歪んでいて、その歪みを矯正するのにそれから1年半以上かかって、ようやくソフトが出る、と。ものすごいロスですね。

今回の記事とニンテンドーランドの記事を両方読むと、恐ろしい実態が浮き彫りになるんですが、2つのソフト部署で似たようなことをやらせていて、挙句の果てに、近い時期にどちらもパッケージソフトとして発売する結果になった、って事なんですよね。

どんだけ馬鹿なんですかね?

ちょっと前に、任天堂の据置ハード開発部署と携帯ハード開発部署が統合されるというニュースが出てましたが、客観的にみれば、「そもそもどうして2つに分かれてるの?馬鹿じゃないの?」です。同じことがソフトでも起きてるんですよね。

3DSやWiiUが高性能追求路線ではないとしても、前世代よりは性能が上がって、開発負荷が高まるのは明らかでした。開発リソースの慢性的な不足も、中長期の課題として指摘されていたはずです。にもかかわらず、2つの部署で似たような事をやらせる。贅沢というより、ただの無駄遣いですよね。案の定、ファーストタイトルさえ間に合ってない。2年前にわかってた事でしょう?

3DSの発売当時、岩田社長は(いい意味で)「変な会社」と自画自賛してましたが、呆れ果てますよね。ブクブク肥え太った王侯貴族が豪華な食事を食い散らかしながら、「個性的ィ~♪ 贅沢ゥ~♪ フォッホッホ」と笑ってるような、グロテスクな光景。

数学はできるけど、算数ができない人、みたいな印象です。
こういう差配をした戦犯が誰なのか。シニアプロデューサーか、スタジオマネージャーか、経営陣かは知りませんが、さっさと更迭されるべきでしょう。

そもそもこの「ミニゲーム集」路線、いつまで続けるんですかね?


任天堂の成功期間を2004年~2010年の6年間とすると、その期間はいわばミニゲーム路線の成功でした。

90年代後半から2003年までの任天堂は、大容量メディアへの切り替えが遅れ、高性能路線でも(マイクロソフトの参入によって)相対的な地位が一段と低下していき、大規模プロジェクトの管理や技術開発競争でも少しずつ劣勢になっていました。

『ポケモン』という強力なIPの出現と携帯ゲーム機市場の拡大がなければ、セガに引き続いて競争から退場していたのは確かでしょう。その任天堂の反撃が最初に成功を収めたのが携帯ゲーム機だった事は、必然だったといえます。

DSの成功の前夜、事前の補助線として忘れてはならないのは、2003年春にゲームボーイアドバンスで発売された『メイドインワリオ』のヒットと、2004年2月に第1弾が発売されたファミコンミニの成功です。その後、2004年年末のDS発売、2005年の『脳トレ』発売、2006年の『Wiiスポーツ』の大ヒットなど、任天堂は複数のミニゲーム集で大ヒットを成し遂げ、回帰ユーザー向けの懐古系ラインナップも拡充させていきます。

据置ゲームが重厚長大化していく一方で、ファミコン世代=団塊ジュニア世代の可処分時間が下がり、PS2路線の据置ゲームとのアンマッチが顕在化していました。

その一方、ガラケーでのiアプリの台頭やPCでのカジュアルゲームポータルの台頭など、「軽いゲーム」の台頭は現象としては発生していましたが、ゲーム業界のメインストリームのビジネスになる規模ではありませんでした。まだまだ従来型のビジネスモデル、パッケージモデルの市場が強かったという事です。

小さくて軽いゲームをそのまま売るのは物理パッケージ市場では難しく、数本~数十本詰め合わせて、数千円の値段をつけて販売するほかありませんでした。単に詰め合わせても、魅力的なパッケージにはなりません。単体では1本のフルプライスゲームにならないアイデアやゲームを寄せ集めても、つまらない物を詰め込んだだけに見えてしまうわけです。

任天堂が画期的だったのは、そこにタッチパネル等の新鮮なインターフェースや、「脳を鍛える」「スポーツ」「フィットネス」といった明快な実効性や目的性を与えることで、あまり面白くない物として認知されていたミニゲーム集に多大な付加価値を与えたことです。

また副次効果として、新規インターフェースを使った遊びの開発の過程で、試行錯誤してきた様々な副産物を捨て去ることなく、本体内蔵ソフトやミニゲーム集としてまとめ上げることで、他ハードメーカーやサードパーティに対して優位性が高まりました。

平たく言えば、ミニゲーム集というパッケージングのリニューアル、再付加価値化に成功したわけです。しかしそれは永遠に続く物ではありませんでした。

ミニゲーム集も徐々にネタ切れになり、当初は「単品では商品になり得ない遊びでも、詰め合わせることで商品性を担保できる」便利な方法だったのに、ミニゲーム集を作るためにネタを多数考案して制作しなければならなくなったり、新型コントローラを投入する必要が出てきたのです。コストパフォーマンスの良い商法がいつのまにかコストパフォーマンスが悪く、リスクの高い商法に変質していたのです。ハードメーカーである任天堂以外は、徐々にミニゲーム集から撤退していきました。

幕の内弁当に飽きが来て、売上も徐々に低下していきました。2008年の『Wiiスポーツ リゾート』は一定の成功を収めたものの、『WiiMusic』以降はこけてますし、それ以降のミニゲーム集はどれも前作割れを起こしています。(最後の成功作は2008年7月に発売された『リズム天国ゴールド』でしょう)

DS、Wii、3DS、WiiU各時代のミニゲーム集の「社長が訊く」を一度読み返してみてください。「幕の内弁当の20品のうちの1つのハンバーグはハンバーグ弁当のハンバーグと同等以上においしい。手間も掛かってる」みたいな論調が徐々に強くなっているのです。3DSの内臓ソフトや『ニンテンドーランド』や『ゲーム&ウォッチ』などは、なかなか極まっています。

「ダブルから揚げ弁当」「ダブルトンカツ弁当」などの肉肉しい競争が激化する中、とある老舗の弁当屋が「幕の内もおいしいよ?」ぐらいで新商法を始めて、「1品目5秒で食べられる200品目の幕の内」「脳を鍛える幕の内」「スポーツで爽快な幕の内」「家族で食べて美味しい幕の内」「健康にいい幕の内」が大ヒットした挙句、店頭には新しい幕の内弁当ばかりが並ぶようになり、いつのまにか客足が減ってしまいました。

古馴染みのお客さんもまだまだいたし、出血大サービスの大安売りで盛り上げたりしましたが、一度去った幕の内弁当ブームは復活せず、ついには弁当(ゲーム)以外の商材(カラオケやWebサービス)を前面に押し出すようになり、今では常連客がため息をついている。

そんな喜劇的な光景が目に浮かびます。
「店長、新しい弁当は作らないのですか?」「もちろん作るさ。新しい【幕の内】弁当をね!」という会話が店の奥から聞こえてくるのかどうか……。


では何が変わったのでしょう?

1つは単純にミニゲーム集という幕の内弁当に飽きた、という事でしょう。もう1つは物理パッケージ以外の形態が台頭してきた事です。ダウンロードソフトの台頭により、1本数百円での販売が可能になり、ミニゲーム集という形態を取る必要が無くなってきたのですね。数百円の付加価値があれば、寄せ集めなくても売っていい。これは最初は福音に聞こえたものです。

しかしすぐに地獄に変わりました。
数十本集めて数千円という商法は、いわばミニゲームの抱き合わせ商法です。数十本のミニゲームの全部が面白いという事はまずありません。バラで売るより、共通のテーマ性や目的性を持たせて数千円で売った方が、平均的には効率が良かったのです。

無数のアプリ群、無数の死屍累々の中から『Angry Birds』のような大成功例は出てきました。しかしそれは無数の死屍累々があった上です。アプリの1本あたりの単価は安くなっていき、相当な本数が売れないと回収できなくなりました。価格の安い方に収斂してしまったんですよね。

そして台頭してきたのが「無料+アイテム課金」のビジネスモデルです。
『パズル&ドラゴンズ』が『Dungeon Raid』というローグライクなパズルゲームに刺激を受けて企画立案され、当初売り切り型のゲームとして開発されていたのは有名な話です。

パズルゲームをゲーム専用機市場で、1本数千円で売るのは非常に難しくなりました。スマートフォン市場で1本数百円で売るのも簡単ではない時代です。しかしF2Pで展開して、月間数十億円の売上を上げることはできたわけですね。

売り方、商法が大きく変わってしまった。それが発明されたんですよ。だから書くんです、まだ幕の内弁当を売り続けるの?と。


映画的なゲーム制作やCG映画制作の葉脈3ヶ月も、「よーし、1品1品が高級ホテルや料亭並みの職人的なこだわりの幕の内弁当を作っちゃうぞ」も、あんまり大差ないアレっぷりだなあ……と思っちゃうのは、僕だけですかね?

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