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あなたの信じるやり方でいいんです。ごまかしても仕方ないですよ?

2012年4月27日(金)決算説明会
上場来初めての赤字決算となった任天堂。
決算説明において今期の計画が説明されましたが、前回の記事にまとめたとおり、今期の黒字額は非常に小さい。ソーシャルプラットフォーム2社と比較して大幅なダウン。下手をすると、サイバーエージェントあたりにも脅かされかねない水準です。

任天堂はDSとWiiで積み上げたアドバンテージを完全に失ったと言えるでしょう。

任天堂にとっての課題は3つ。
いずれも1、2年ではどうにも解決できない状態です。
  • 競合となるSCE、マイクロソフトに対し、据置ゲームでのアドバンテージを失ってしまった。特に北米市場ではXboxが優勢。
  • ソーシャルゲームを始めとするF2Pビジネスが浸透し、パッケージゲームやゲーム専用機が相対的に高額に感じられるようになった。結果として値下げ圧力が働き、ソフトウェアやハードウェアからの利益を押し下げてしまう。
  • スマートフォンやタブレットの普及にともない、ゲーム専用機を購入するメリットが低下し、ゲーム開発者もそちらに流れている。


そういう情勢で、任天堂もパッケージビジネスからの脱却を加速せざるを得なくなってきました。

『FE 覚醒』では4月19日、4月26日、5月2日と毎週追加DLCを配信。サードパーティの配信事例から見ても、有料の配信としてはかなりハイペースな部類です。
4月19日:異伝 英霊の魔符1  300円 ※期間限定で無料配信
4月26日:異伝 英霊の魔符2  250円
4月26日:異伝 王対王 紋章編  350円
5月2日:異伝 英霊の魔符3  300円
5月2日:異伝 金と銀  300円
5月2日:異伝 王対王 聖戦編  400円
総額1900円となっており、発表当初の印象よりも本腰が入っています。長期的な関係を重視するという岩田社長の言葉とは裏腹に、短期に追加DLCを連発する様子は、さっさとDLCを売り逃げする余裕の無い中小企業のようにも見えます。まー、色々と試行錯誤している最中なのかもしれませんね。


またパッケージソフトにおいても、物理パッケージとダウンロード版の同時発売を宣言しました。『Newスーパーマリオブラザーズ2』『鬼トレ』という本数の見込めるタイトルで実施するところに本気感があらわれていますね。SCEがPSVitaで導入した仕組みを真似ており、ビジネスモデルについては他社の後追いを好む任天堂らしいやり方です。追随するまでの期間が短く、それだけ余裕が無くなっているのでしょうね。

PSVitaのようなストレートなやり方ではなく、流通への配慮が必要な任天堂らしく、変則的な方法を用いています。ニンテンドーeショップでの販売の他、ショップやオンラインサイトに対して16桁のコードを出荷する経路も作ります。ユーザーはコードをeショップで入力して、ゲームをダウンロードする事になります。

ユーザーにとっては手間が増える煩雑さはありますが、クレジットカード等の決済手段を嫌がるユーザーもいるでしょうし、既存の小売店にとっては一定の救済策になり得ます。コードはユーザーが購入した時点で在庫として仕入れた事になるため、在庫負担が軽減されるメリットもあります。

通常のDLC販売と比べると、あくまで”移行期間における販売手法”に見えますが、0か1かで変化を促すよりは摩擦は少ないでしょうし、PSVitaの販売が不調なSCEが流通へのご機嫌取りとしてこの手法を任天堂からパクる可能性もあるかもしれません。ま、そういう惰弱な事をしてほしくはないですがね。

流通との関係性というレガシーコストを改めて感じさせる施策ですね。ジョブズが復帰した直後の経営危機に瀕していたアップルでの大ナタの振るわれかたに比べれば、半端な印象は否めません。とはいえ、前進は評価に値します。

初めての営業赤字という事態が、流通に対しても「うちも大変なんで理解してください」と言いやすい状態を生み出したのでしょうね。そういう意味では今期、来期も赤字のほうが適切な改革を起こせて、中長期的には良い結果になるのかもしれません。


その一方で、岩田社長らしい逃げ口上が飛び出したのは残念でなりません。
長期的な関係を築くと言いながら、追加DLCを短期で連発しているあたり、発言の信憑性がまったく無いのですが、下記の引用文をよく読むと、議論のすげ替えを行っている事に気づかされます。
「追加コンテンツ販売を意識するあまり、パッケージとして未完成と受け止められるような商品を任天堂としてご提案するつもりはない」、「ネットワークを通じてコンテンツを配信することで、さらにお客様に長く、深く遊んでいただくために、追加コンテンツ販売を行っていくが、この際には、あくまでお客様に提供するクリエイティブなコンテンツを制作したことに対する対価として、お客様にお金を支払っていただけるようにする」、すなわち「構造的に射幸心を煽り、高額課金を誘発するガチャ課金型のビジネスは、仮に一時的に高い収益性が得られたとしても、お客様との関係が長続きするとは考えていないので、今後とも行うつもりはまったくない」ということです。これらのことをご理解いただければ、「『どうぶつの森』は、アイテム課金ゲームになるのではないか?」というような誤解をされることもなくなると思います。

『どうぶつの森』でアイテム課金を取り入れるかどうかと、アイテム課金の一種であるガチャ課金を取り入れることはイコールではありません。農園系、コミュニティ系のゲームでは、課金ガチャを取り入れているゲームは少なく、時間短縮型のアイテムや、仲間同士のプレゼントアイテム等が主流です。

『どうぶつの森』でアイテム課金をするのか?と訊かれて、ガチャ課金はしません、と答えるのは意味不明で、ソーシャルゲームをまともに遊んだことがないのかな、と首をかしげてしまいます。まさか全然遊んだことがないのに、ここまで否定的な発言をしている訳ではないですよね?

長期的な関係という点では、オンラインゲームも10年近く続いている物もあり、長期的な関係を築けていることは立証されています。その中には月額課金のタイトルもあれば、アイテム課金制のタイトルもあり、アイテム課金だから長期的な関係が築けないとか、ガチャ課金だから短期で終わってしまうという事はありません。問題なのは過消費であり、消費疲れして燃え尽きてしまうユーザーが出てくることでしょう。

『ドラゴンクエストⅩ』の課金形態が発表され、キッズタイムの導入など、配慮の行き届いた施策が話題を呼んでいますが、『どうぶつの森』はどうするのか。追加DLC販売もあれば、月額課金もあるし、農園系のような消費アイテムの販売もあるし、倉庫アイテムを売るというパターンもありますよね。あるいは、ガチャにしても、毎日アクセスするだけでくじが引けて、30回に1回程度大当たりで家具が出るが、お金を使えば直接家具を買える、というやり方もあります。

さまざまな設計があり得る中で、アイテム課金=ガチャ課金というおかしな仮定で、その場をごまかすのは何故でしょうか? 岩田社長自身が不勉強なのか、開発陣が不勉強で旧態然とした課金モデルでゲームを作っているのか。おそらくどちらかなのでしょうね。

やーれやれ。

集まった報道陣は印象操作でごまかせるかもしれませんし、熱狂的な人達は「ガチャは腐った商法! さすが任天堂は違うぜ!」と叫び出すのかもしれませんが、それでは全世界のゲーム開発者を騙せません。むしろ社長の不勉強さを印象づけてしまいます。

去年のGDCでF2Pを安直に否定し、海外の開発者達からの批判を浴びたことを岩田社長は忘れてしまったのでしょうか? あの時に比べれば、社会的に注目を集めているガチャ課金を持ち出す点で、印象操作は巧妙になりました。しかしネット業界やゲーム業界のソーシャルゲーム開発者からすれば、論理の不自然さは明らか。

どうして任天堂はネットサービスで失敗が続くのか。ネットで面白いことをやりたいと思っているような連中がネット企業に行き、任天堂に来ないのも一因ですよね? ネットに関心のある若者はDeNAやGREE、CyberAgentに行くわけですよ。社長が不勉強さを露呈して、何の益があるのか?

負け組としてみなされている任天堂がガチャ課金を批判してみせても、集まった報道陣は感心するのでしょうか? 説得力が無いことを主張してみせても、本当にわかっている人達から失笑を受けるだけではないですか?


そもそも任天堂は、他社のビジネスモデルを批判する割に、数年後にそれを追随することが多く、現在他社のやり方を批判していても、将来そうしないという保証はありません。他社のゲーム機の値下げを批判して数年後に自社が盛大な値下げをぶちかますなど、岩田社長は”数年後の自分のやること”を批判してしまう悪癖があります。

ここは冷静な説明が欲しかったですね。

まー、最近、日経新聞などに切れてみせるなど、報道に対して感情的になる事もあり、冷静さに欠ける言動が目立ちます。

あるいは岩田社長にとっては、「どうせ報道の馬鹿どもはアイテム課金=ガチャ課金と同一視してるんだ。そんな連中なんだ」という思いがあるのかもしれませんが、相手が馬鹿だから馬鹿にあわせた説明で十分、というのは悲しい考え方です。

別に岩田社長に、スティーブ・ジョブズ(Apple)、ジェフ・ペゾス(Amazon)、マーク・ザッカーバーグ(Facebook)を求めている人はいないと思うんですよ。強いこだわりと確たる未来のビジョンを持った経営者ではないのだから、そんなに一生懸命、他社のやり方を否定しなくてもいいでしょうに。ポリシーが無いから、3~5年もすれば、言うこともやることも変わるんでしょ、どうせ。

外様として老舗企業に入り、少しずつ信頼を得て、逆風の中でDSを成功に導き、Wiiも少なくとも前半は成功させたのは、宗教的なまでのポリシーや一貫性ではなくて、相手がどれほど愚かであっても、最大限の誠意と情熱をもって丁寧に説明してきたからではないですか。時勢が背中を押し、プレゼンの説得力を増していたのは確かですが、その丁寧イズムが共感を生んできたのではないですか?

安っぽい煽り文句で自社を正当化するのは、論争好き、批判好きなネットユーザーの行為であって、本来のやり方ではないはずです。顔が疲れているなどとネタにする記事もあり、実際にお疲れなのかもしれませんが、疲れている時こそ、説明が雑になり、情緒的な発言をしてしまいがちになるもの。丁寧に説明していく必要があるのではないでしょうか。

天空にお城が浮かんでいた頃は丁寧に誠実に説明する余裕があったけれども、地に落ちてからは余裕がない、というのでは……あまりに悲しくありませんか?

なんだか逆に心配になってしまいました。
『どうぶつの森』でガチャ課金を取り入れる事は無いだろうなと思っていましたが、不勉強さが露呈してしまうと、逆に数年後にあわててガチャを始めるんじゃないか、と怖くなります。『ドラクエ10』のようにしっかり考えられた施策が発表されれば、ガチャはしない方針が説得力をもつのですが……。

不勉強な人間の短絡的な説明に説得力はありません。勉強し、研鑽を積んでいただき、ユーザーとの長期的な関係を維持してほしいと心の底から願います。赤字決算が続いて、個別のゲームに適した課金モデルをろくに研究してなかったから、慌ててガチャを導入します、なーんて事にならないように。

その頃には過消費への批判を受けたソーシャルゲーム業界が落ち着いたバランスで着地している一方で、不勉強な企業が決算に追われて、慌てて過消費のガチャをリリースしてしまう、なんて事にならないように。

岩田政権のこれまでの言動をみれば、こういう心配をするのが自然では?
不勉強は罪深く、短絡的な説明は説得力を欠く。
勉強し、研鑽しましょう。心の底から願います。

ため息をつきながら。

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2012-04

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