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身も蓋もないなあ……。コンテンツ産業を俯瞰すればどうなってるかは……。

まったくその通りなんだが、身も蓋もないなあ……。
任天堂関連のゲームスタジオであるジニアス・ソノリティの山名氏の年末のつぶやきがなかなか核心をついており、注目を集めているようですね。
https://twitter.com/#!/ManabuYamana/status/152407376211881984
ManabuYamana 山名 学
vitaは72Kで失速、3DSは482Kで盛り上がったが、最大の商戦でこんなものなのか…。コンシューマーだけで生き残れる時代ではないことを再度実感した年末だった。
それにしてもVitaの立ち上がりは不安。3DSも多いに不安だったが、Vitaには、本質的なニーズを感じない。Vita買うなら素直にiPhoneで良いのではないか?
ハードの揺れ具合みながら、ソフト作るのってホントに疲れる。それを実感した1年だった。
しかしながら、3DSは5Mに届かなかった。この現実が示唆している未来を想像すると、考えることがたくさんある正月になりそうです。

ジニアス・ソノリティ単体でいえば、そう簡単に任天堂が消えてなくなる事はないんだし、「残存者利益」を狙って、任天堂系のキャラクターを使ったソフトを安定的に出していけば、いいんじゃないの? と思いますが。自社でオリジナルの企画を立ち上げたりなんて、既にやってないわけで、スマフォが売れようが、任天堂ハードが売れなかろうが、やることが極端に変わることもないでしょう。

いち業界人としては、コンシューマーゲーム業界の斜陽っぷりに感傷的な思いを抱くのもわかりますが、しょせん感傷です。まあtwitterでつぶやけるという時点で、実はそんなに困ってなくて、ただのセンチメンタリズムに過ぎないのは明らかですが。


まー、今後のゲーム専用機ビジネスを見通せば、とても悲しい。
けど、逆にいえば悲しいだけだよね。アーケードゲームが衰退したって、コンシューマーゲームが盛り上がったり、オンラインゲームが台頭してきたように、ゲームそのものは形を変えて拡大していきます。新しいビジネスモデルを成立させて生き残ったり、新興国の経済力の向上とともに、娯楽に投じるお金が増えて、ますます浸透していったりする。

先進国という経済的に比較的安定した圏内で、中流層がかなりの数存在したからこそ、パッケージビジネスは成立しえたのであって、1つの国の中で所得格差が拡大していき、国どうしの格差が少なくなっていく現状では、ユーザーの経済格差を前提にしたビジネスモデルに移行せざるを得ないし、同時に従来とは異なるプラットフォームを通して先進諸国以外の地域の人たちにゲームをプレイしてもらう事を模索してもらうほかない。

アジア圏内にほとんど普及してないという時点で、ゲーム専用機は日欧米限定の狭いプラットフォームに過ぎず、世界に占める経済力のバランスが変化していく中で、存在感が縮小していくのは仕方ありません。


普及台数がさほど意味を持たなくなってきたのはWiiの世代で明らかになったわけで、来年は3DSの普及台数の意味が問われ始めます。しかしそれさえ、たいした意味はなく、恐ろしいのはお札をつけてゲーム機を売っている現状です。DS→DSL→DSi→DSiLと任天堂は携帯ゲーム機の値段を吊り上げてきました。携帯ゲーム機単体の価値はそれほどのものがある、と認めさせてきたわけですが、3DSでその価値観は崩壊し、1万円もの大幅な値下げをする羽目になりました。WiiUも価格面では相当がんばらなければいけません。

3DSの自滅もあって、相対的にポジショニングが向上していたかに見えたPSVitaも、3DSの大幅値下げとモンハン強奪に巻き込まれて(苦笑、割高感が強まってしまいました。携帯ゲーム機の適正価格が暗黙的にはこの2年ほどで、明示的にはこの1年で1万円下がってしまったのですね。それを思えば、500万台に届かないのか、というつぶやきに込められた暗澹たる思いもわからないではありません。

ゲーム専用機はすでにハードウェアだけを売る商売ではありません。ハードウェア+本体ソフトウェア+ネットワークサービスを売っており、ハードウェア以外のコストは新型モデルに伴う値上げや、サービスの月額会費や、サードパーティのロイヤリティで賄われています。3DSが発端になり、WiiUがそうなるであろう未来、そしてPSVitaが若干巻き込まれつつある未来とは、ゲーム専用機のハードウェア以外の価値をユーザーが認めないし、下手するとハードウェアその物の価値さえ認めてもらえない未来です。

任天堂が出した損失は、今期の大赤字で終わりではありません。DSやPSPの世代を通して積み上げてきた「ゲーム機の価値」が大きく下落したこと、少なくとも当分の間ゲーム専用機が「本体にお札を乗っけて売る」ビジネスになってしまったことです。

3DSがもはやDSほどの利益を任天堂にもたらさない事は確定的ですが、WiiUがWiiほどの利益をもたらさない事も確定的です。PSVitaはまだわからないが、PSPほどの利益をSCEにもたらさない可能性はじゅうぶんあります。ゲーム専用機のサイクルの中で上がるはずの利益が上がらなくなった。この軋みは必ず表面化してきます。

それは広報費の削減だったり(いきなり広報費を減らすと、何のために血を流してまで普及を優先したかわかりませんので、すぐに影響はでません)、下請けに落とすお金の絞り込みだったり、次世代の研究開発費だったり、市場規模の縮小だったり、と様々な形で表面化していくでしょう。ゲーム専用機ビジネスがトータルでもたらす富の総量、価値の総量が大きく減じてしまったのです。


その一方でモバゲーやグリー、facebook、Zyngaのようなソーシャルプラットフォーム企業が大きく売り上げを伸ばし、特に日本企業は高い利益率をあげています。ゲーム専用機メーカーに比べると、ハードウェアの研究開発、製造コストは無く、普及台数が世代ごとにリセットされる恐れもなく、安定的なビジネスが回せています。ゲーム専用機メーカーよりも、ソーシャルプラットフォーマーのほうがビジネスモデル的に優れている、と言ってもいいでしょう。

無論、その膨大な富と価値が発生した一方で、どこかで富と価値が減じています。ゲームにおいては、ゲーム機本体の価格感が大きく変化しました。携帯電話においては、キャリアが土管屋に戻りつつあり、キャリアと二人三脚でやってきたガラケー端末メーカー各社がアップルやサムソンといった海外の端末メーカーにシェアで押し込まれています。携帯電話のビジネスを支えてきたキャリアと端末メーカーが価値を失っています。

コンテンツレイヤーの動きを見ましょう。数多ある勝手サイト群が課金会員の人数を落とし、モバゲーとグリーのようなソーシャルプラットフォームにソーシャルゲームを出さざるを得なくなっています。国内のソーシャルゲームビジネスは、コンシューマーゲーム業界からソーシャルゲーム業界への人材の再配置という視点以外に、携帯コンテンツ業界の視点として、勝手サイト群のコンテンツがモバゲーとグリーに再編されていくプロセスでもあるのです。

iモードの10年間という温室の期間を経て、携帯コンテンツ業界が育ってきたという事です。確かに10年前、あるいは5年前は「携帯電話がゲーム機を脅かす」と言っても、ただのジョークでした。それは大人と子供を比べるようなものです。しかし10年が経てば、大人はおっさんや老人になり、子供はたくましい青年になるわけです。10年前や5年前の記憶にすがって、時代の変化を認められずに騒ぐ「老醜」は目にしたくないものです。

コンシューマーゲーム業界だって、最初の10年、次の10年を経て、力をつけ、成熟していったわけで、プレステバブルの頃のコンシューマーゲーム業界と現在のソーシャルゲーム業界の姿はかなり似ています。逆にいえば、これからの10年間をどう過ごすかで、その未来は大きく分岐していくのでしょう。

はっきりいって、コンシューマーゲーム業界はこの10年の選択肢を間違ってしまいました。国内市場が富を生んでいる時代に適切な先行投資をして、ワールドワイドでプレゼンスを作ることができなかったし、開発人員の比率を適正配分できなかったし、利益構造の改革も成しえませんでしたし、製作技術の向上も果たせませんでした。ゲーム機メーカーでさえ、目先の選択を繰り返してきた結果がこの有り様です。


そういう意味では、実質的にコンシューマーゲーム業界が世界戦で負けてしまった現状で、「ゲーム」そのものは拡大している現状で、どう立振る舞っていくかはなかなか悩ましいですね。

ソーシャルゲーム市場全体を見渡して、富の大半は日本市場にあります。それはかつてコンシューマーゲーム業界において、日本企業が豊かな国内市場をもとに、高い競争力を維持していたのと同じ光景です。海外のコンシューマーゲーム市場が拡大するにつれて、海外企業が伸びていったように、やがては同じように富のバランスは変化していき、海外のソーシャルゲーム企業が伸びていくのでしょう。それまでの期間に、どういう先行投資をやっておけるかがとても重要です。

俯瞰的に見れば、日本はその島国性もあって、コンテンツ産業の最初の10年のうちは「温室化」した国内市場をもち、高い利益率を背景に世界的に見ても競争優位に立つことができる。しかし温室の内部の蜜が甘いがゆえに、温室の外に目が向かなくなる傾向がある。次の10年で適切な投資を行えない場合、世界的な競争力を喪失して、地盤沈下していく。

産業が経年劣化していく過程で、温室の時代に富をため込んだ企業がキャッシュを吐き出せば、少しはカンフル剤になるんでしょうが、そういう事はしませんよね。貯金を守らない老人はいません。SCEにシェアを奪われるという恐怖心だけが、任天堂に膨大なキャッシュを吐き出させた(=3DSの大幅値下げで大赤字を出した)ように。SCEはPS3のせいで、アホなことでキャッシュを喪失していますし。

まー、老いた市場にも「残存者利益」はあるので、衰退していく市場にしがみつくのが間違いではないのですけどね。残存者利益に支えられて、年金を食むようにゲーム専用機マーケットにしがみつき、伝統工芸コンシューマーゲームを続けるのも、クリエイティブでエキサイティングで刺激的なのではないでしょうか。老いってのはそれを自然に受け入れていく事でもあるのですから。


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