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あのニート探偵が帰ってきた! 二億円の大金をめぐる事件 『神様のメモ帳 2』

神様のメモ帳 2杉井光

クラスに馴染めず、学校からドロップアウトしかけていた藤島鳴海は冬に起きた事件を経て、ニート探偵アリスの助手におさまっていた。そして日夜、ラーメンをアリスの元に運んだり、ドクターペッパーを冷蔵庫から取ってくる仕事に精を出していた。非力なアリスのためにプルトップを起こしておく気遣いも忘れない。すごいZE、鳴海、アリスの下僕助手レベルが上がるのも目前だZE☆

ニート探偵事務所を訪ねてきたのは、二億円の現金入りのバッグを抱えたタイ人の少女・メオ。彼女の依頼は「お父さんを助けて」。元ヤクザの父親が大金を残して、姿をくらましたのだ。

ドラッグや生に対する絶望といった、陰鬱なモチーフが使われた1巻と異なり、今回は父と娘をめぐる信頼の物語であり、普通に面白く読める。1巻を読んだ人は、ぜひ2巻も読んでほしい。主要な登場人物の紹介が済んでいるため、事件に集中することができ、作品としてもまとまりが出て来た。

少年やくざの「四代目」の活躍する場面が増えているのもいい。人気が高そうなキャラだけに、次巻以降も登場を増やしたらいいと思う。この作者の前シリーズ『火目の巫女』はいっこうに続きが出なくて、打ち切り臭が漂ってるけど、このシリーズこそは頑張って。

さすがに『池袋ウエストゲートパーク』あたりと比べるわけにはいかないけれども、文系男子的な気弱さをもった主人公がトラブルシューターをつとめる話として、けっこう化ける可能性もあるんじゃないかな。「きみはだいたいにおいて考えが足りないが、どういうわけか、手もつけられないほどに混乱した状況の最後にあって無理矢理つじつまを合わせるのだけは得意なようだ」とアリスに評された鳴海がどれだけ化けていくのか、次巻以降に期待したい。

エンディングのハッピー度合いもこれまでで一番高いし、陰鬱な話に寄りがちな作者がここらで一皮むけるといいな。まだ化ける余地が残った作者だと思うし、リアリティの構築という点でライトノベルの水準に留まる可能性はあるけれど、一般小説でも勝負できるポテンシャルは秘めていると感じた。

探偵と助手の関係では、ヴィクトリカと一弥のコンビに似た部分もあるんで、『GOSICK』シリーズのファンも一度読んでみてほしい。
「……探偵さん?」
「ニート探偵だ。アリスという。そっちは助手のナル……わ」
 女の子はベッドの端に手をついてアリスににじり寄った。まるでパジャマのにおいを嗅いでるみたいに、アリスを至近距離からしげしげと観察する。
「な、なんだい」
「抱っこしてもいいですか?」
「なにをばかなことを言ってるんだきみは!」アリスは真っ赤になって女の子の顔を押しのけ、後ずさった。
「ごめんなさい、こんな探偵さん見たことないから、つい」
「なにがついだ。依頼人は依頼人らしくしていたまえよ!」
「どうしてもだめ? 一回だけでいいから」
「ぼくはぬいぐるみじゃないぞ!」

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:神様のメモ帳  杉井光  

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