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虫憑きたちの群像劇へ 『ムシウタ03. 夢はばたく翼』

ムシウタ03. 夢はばたく翼岩井恭平

アニメ化が発表され、これからさらに売上も増加していくと思われる『ムシウタ』シリーズの第3巻。このシリーズの魅力は巻ごとに新しいキャラクターが加わっていくところ。1巻と2巻の主人公を務めた薬屋大介の出番はほとんどなく、特別環境保全事務局、通称”特環”の追跡から逃げる3人の少女に焦点が当たる。

巻ごとに焦点の当たるヒロインが異なり、表紙を飾る女の子が変わる、という基本フォーマットが確立してくるのもこの巻からだ。シリーズを通しての主人公、薬屋大介が大きく出張ってくることもあるが、基本的にはその巻ごとの主人公が活躍する。そして『ムシウタ』は徐々に、虫憑きたちの群像劇という特色を帯びていく。事実、薬屋大介の登場比重が大きいのは、1巻、2巻、5巻、8巻と、本編8冊のうち半分にすぎない。

それにしても、岩井恭平は戦う少年よりも、戦う女の子を書くのが好きなんだなあと、つくづく感じる。デビュー作『消閑の挑戦者』もそうだが、少年に愛が注がれてる感じがしない。戦うのも少女、最強クラスの敵も少女(大人の女性)という図式が多い。

『ムシウタ』ではあえて、薬屋大介という少年を主役に据えて、熱い物語を書こうとしたようだが、少女をクローズアップした方が素直に熱い話を書ける気がする。もっともこの作家は”熱い話”を書くのは、そもそも得意ではないと思うけど。

”特別環境保全事務局”から逃げる3人の少女。1人は自分を除く島民を虐殺され、復讐を誓いながら”特環”に所属していた白樫初季。1人は最強といわれる1種にランクされ、”特環”に囚われていた虫憑き、杏本詩歌。1人は普通の中学生、海老名夕。彼女たちは偶然にも、中央本部の恐るべき秘密の一端に触れてしまったのだ。

”特環”のエージェントが包囲網を狭めつつある中、赤牧市から脱出し、2つ隣の桜架市を目指す3人。行く手には”特環”に所属する、強力なエージェントが次々と立ちはだかる。新たな虫憑き、”霞王”や”C”、”兜”、”ねねこ”が登場し、虫憑き同士のバトルも見所。

この巻では、いよいよラスボスと思しき人物も登場する。虫憑きを化物よばわりし、化物を肯定し、化物を愛し、化物を愛する自分の慈愛を確信している最悪の存在である。3人の少女はそいつに一矢報いることができるのか。

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:ムシウタ  岩井恭平  

エロゲーという娯楽の極点。嗜好性と物語のはざまで - アージュをめぐる話のついでに -

アージュをめぐる議論

エロゲー系ブログ界隈で、アージュについての議論が盛んなようです。うちの読者はこの辺の話を追いかけてなさそうなので、まずは簡単なまとめを。

発端は2chの「泣けるとされているエロゲランキング」。このランキングについてのkaien氏の感想から、徐々に広がっていったみたいです。
きみはエロゲで泣けるか? (Something Orange)
 『君が望む永遠』はアージュのヒット作。ぼくはこれ、あまり好きじゃないんだよなあ。ようするにただのベタなソープオペラですからね。
 序章が終わって本編が始まる場面を、いきなりセックスの描写から始めるいやらしさ、気持ち悪さは高く評価しますが、「泣ける」という評判はよくわからない。どこらへんで泣くものなんだろ。
泣けるか泣けないかは問題じゃない (敷居の先住民)
 ソープオペラってのがどういうものを指しているのかわからないけど、別に泣いてもおかしくないと思いますよ。冬ソナで泣ける人は君望でも泣けるでしょう。普通に主人公に感情移入してプレイすれば、泣けるように作られてるゲームだと思う。
(略)
 たしかに面白いことは面白いんだけどさ、結局「序章が終わって本編が始まる場面を、いきなりセックスの描写から始めるいやらしさ、気持ち悪さ」がアージュのシナリオの本質なんだもんなあ。底の浅い説教と、驚かせりゃ勝ちの一発芸の連続に慣れてくると、だんだん腹立ってくるんですよ。君ら、プレイヤー馬鹿だと思ってんだろと。プレイヤーにショックを与えたり感動させたりするには確かに有効な方法かもしれないけど、とにかく品がないんだよなあ、アージュの演出は。
何でそんなにアージュが嫌いなのか? (Something Orange)
 それは結局、パッケージとしての統一感のなさということに尽きると思うんです。例によってぼくは『君望』一作のことしか語れないわけですけれど、とにかくこの作品にはパッケージとしての「余剰」が多すぎる。

 具体的にいえば、茜と遥の二股で終わる結末や、愛美に監禁されて終わる結末はいったい何のためにあるのかということですね。

アージュは何でそんなに嫌われるのか? (物語三昧~できればより深く物語を楽しむために)

アージュが嫌われているわけと、アージュのいい所。 (アセティック・シルバー)
まぁ、ここらへんの「なんでも詰め込んじゃえ!」な辺りが非常にアージュらしいと言えば、それらしいですね。詰め込めばいいってもんじゃないと思う(笑)。「君が望む永遠」のファンディスクにしてもそう思う。もしもヒロインの涼宮遙が事故に逢わなかったら?というifストーリーが入っているのだけど、ここら辺の、消費者が望めば折れてしまう辺りはどうにかならないのか。セイバーシナリオのグッドエンディングは絶対作らないと言っている、TYPE-MOONの奈須きのことはまるで正反対(笑)。今夏発売されようとしているマブラヴオルタネイティヴのファンディスクも、ユーザーの要望によるものですし。
ただ、そういう気持ち悪さを肯定した故の美しさというような、アンビバレンツな物語にアージュはしようとしているんじゃないかなぁと、僕は思う。

age作品への最高の侮辱は「0点」よりも「50点」という評価 (あきっぽい)

アージュ嫌いを許してくれ (敷居の先住民)
 色々考えた末の結論としては、結局、個人の許容範囲の違いとしか言いようがないですね。上記のエントリで書かれている「気持ち悪さを肯定した故の美しさというような、アンビバレンツな物語にアージュはしようとしている」の、その「気持ち悪さ」の部分に耐えられなくなった人から脱落していくのがアージュのゲーム。
なぜ物語中毒者はageを嫌うのか (bmp_69)
物語愛好者にとっては、「本筋」を入れ物として扱うようなageのというか『君のぞ』の作風が我慢ができない。まあ、「その可能性をすべて描いてしまう」品のなさが小説的というか百科全書的というかそういう欲望というか快楽なんだと私なんかは思うわけですね。それは別にageが単に節操がないとかそういう話ではなくて、ペトロニウス氏風に言うと、ageの「思想」は一貫性というよりもバフチン的な多声性というか、雑多な物語を生成する場所を提示するというところにあるのです。さらにアレな話をすれば、そのような猥雑さの快楽というのは、最近のエロゲ界隈においては凌辱ゲー以外にはageぐらいにしか存在しないという摩訶不思議な状況が「気持ち悪い」というか勘弁してほしいというのが私の正直なところ。むしろ、そのようなエロゲ界隈の状況の偏りというか傾向がageの作品を「気持ち悪」くしているのではないかと。
アージュがらみで、ゲームシナリオの話 (ハーたん観察日記)
・なんで今さらアージュ叩きか
 叩きやすいから。新タイトルを出さないから。抵抗しない死体を苛めるのは楽しいから。
(略)
 そんなん、コンシューマーでとっくに終わった「シェンムー」の夢を追いかけちゃう勘違いなセンスに決まってんじゃないですか。小粒な作品のマルチシナリオの雑多な分岐展開と、長大な本筋に依存する一本道主義とを混ぜて議論したらダメでしょう。


「浮気性」はポルノの本質

ひとまず、以上。
すげー長さになったなあ(笑
アージュという会社の人気の高さがうかがえます。じつはみんなツンデレなんですよ、ええ。ホントは大好き。

というのは冗談ですが、ざっと見て、アージュの節操の無さ、下品さ、プレイヤーを驚かせれば勝ちというあざとさ、作品の裏に感じられる悪意に引っかかっている人が非常に多いご様子です。

ボク自身はそういう悪意(ほんとにあるの?)は全然気になりません。
個人的な体験を語れば、『君が望む永遠』の遥エンドでは泣きました。セカチューでは泣かなかったけど(笑 まぁボクがベタな話が好きだというのはある。一方『Kanon』や『Air』ではまったく泣けませんでした。いかにも「泣かせるような話」で泣く人がいるのは、不思議なことではないですよね。

ふと知りたくなったのは、上記の人たちが他にどんなエロゲーを遊んでいるかですね。特に陵辱系をどれだけ遊んでいるかは興味があります。bmp_69さんの指摘がボクは割りと腑に落ちていて、本来のエロゲーつかポルノはアージュや陵辱系のような物を指すんだと思うんですよ。

最愛の人との純愛を肉欲的に心いくまで楽しみながら、同時に彼女の妹と浮気するという可能性も楽しみたい。ポルノには本質的に「浮気性」がつきまといます。性産業自体が代理、代償、浮気といったものから生まれたようなものです。遥と茜の二股は当然の欲望だろうし、水月と遥と茜のハーレムエンドだって、あっても良かったぐらいなわけです。

もちろんそういうルートは「泣ける作品」としては余剰にすぎないんですが、アージュは「ただの泣ける作品」なんて作ろうとしてなかったと思うし。『螺旋回廊』みたいな路線では食い続けられないと判断して、ああいう皮をかぶろうと思っただけでしょう。当時colorful pure girlのインタビューでそんなこと言ってなかったっけか。

「セイバーシナリオのグッドエンディングは絶対作らない」という奈須きのこの態度のほうが、よっぽどポルノ作家らしくない。いや、まあ、TYPE-MOONはたまたまエロゲー市場で商売してるだけの会社で、ポルノゲーム会社じゃないんだけどさ。

お前、遥エンドで泣いたっていったくせに、遥と茜の二股とか許せるわけ? 蛇足でしょ? と問われれば、確かに感動作品としては余計ですが、複数のルートで違う味がするのはちっとも悪いことじゃない、と思うんですよ。美しい光景に感動しつつ、同時にその光景を無残にぶち壊したいのも人間の心でしょう。

アージュは「下品」と言われれば、それはまあそうなんです。でもプレイするエロゲーの比率が陵辱ゲームとそれ以外でほぼ半々のボクにしてみると、あの程度で嫌う理由は理解できない。そういう人は陵辱ゲームもほとんど遊ばない人なんだろうな、と思います。

アージュにしても、譲らない一線はあるのかなと思うわけで、優柔不断が過ぎたり、二股かけたりした場合は悲惨な終わり方ですね。ますますドツボる。ホントに下品なら、幸せなハーレムエンドの1つも作るでしょう。感動作品としては余計な選択はさせてあげるけど、ふさわしい不幸は味わっていただきますよ、という意思を感じます。


嗜好性と物語のはざまで

陵辱系というのは、猥雑な可能性と浮気性のごった煮みたいなもんで、最愛の人間と肉欲に溺れるエンドがあれば、最愛の人間を裏切り、傷つけて喜ぶエンドもあれば、寝取られるエンドもあれば、最愛の人間に刺し殺されるエンドもあれば……と、実に多様な可能性を下品なまでに展開してみせる。

エロゲーを娯楽産業の極点とするなら、陵辱系はその極点の中の極点。そこにあるのは、物語でも意味でもなく、嗜好性のみ。実際2chのエロゲー板に行って見てみるといい。「触手・化物に犯されちゃう系」「戦う変身ヒロインがやられちゃう系」「彼女または片想いの娘がやられちゃう系」「催眠術、媚薬、人格改造、マインドコントロール系」などなど、実にさまざまな嗜好によって、性欲が分類され整理されています。しかも1つのスレッドの中でも、さらに分派があります。

例えば、変身ヒロインがやられちゃう時には、コスチュームを脱がす、すべて破くのはタブーです。タブーを犯したゲームは地雷ゲー扱いされ、最下層に落とされるのですが、ほとんどの人には理解不能でしょう。さらに少し破くのはOK派、最後にエネルギーを吸引されて変身解除ならOK派、まったくダメ派、などと派閥が分かれるに至っては、もはや。

すべての嗜好を理解できる者などいない。
例えばボクは人体改造の類は好きではない。「ふたなり」なら許容範囲だが、それ以上になると「ただの変態じゃね?」と思います。無論、他のエロゲーマーからすれば、ボクも「ただの変態じゃね?」でしょう。変態が作り、変態が買う市場。しかしそもそも変態とは何か。それを欲望や嗜好の偏差だというのなら、そもそも「平均の人間」があり得ないように、人間はすべて変態なのですよ。

個々人によって異なる「嗜好」に応えることは現実には不可能ですが、ポルノ産業はできる限り最適な形で応えようとします。ジャンルを細分化し、作品を細分化することで、細分化していく嗜好にマッチングする。陵辱系ゲームが徐々にダウンロード販売に形態を移しつつあるのは、まったくもって正しい。嗜好のマッチングこそが究極なのだから、在庫を極小化するのは理にかなっています。

作り手のコストを最小化し、より小さい規模でバリエーションを多様化することで、嗜好のマッチングをおこなう。しかし現実にはリソースは有限なため、数千本か、数百本か、どこかで均衡します。究極的には1対1を理想としながら、市場原理によって適正規模に収束し、動的なマッチングの結果としてブームが発生します。その実装がエロゲー市場と呼ばれているものです。

極限までいってしまえば、「物語」は不要になります。なぜなら「物語」は複数の人間に共体験を生み出すために生み出されたものだからです。「物語」はベクトルとしては、共通、万人向けを志向し、「嗜好性」は分裂し、1個人専用を志向します。2つの極点の間に娯楽は存在するのです。

もう少し扇情的な表現をすれば、ポルノ的なるものは人間(の欲望や嗜好性)を全肯定しようとする究極の人間賛歌なのですよ。


君が望む永遠 DVD specification 初回限定版

君が望む永遠 Special Fan Disc

マブラヴ DVD-ROM版

マブラヴ オルタネイティヴ DVD-ROM

テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

5月の売上

ゴールデンウィーク中はアクセス数が減って、売上も落ち込んでいたんですよね。こりゃかなり下がるなあ……と思っていたんですが、後半の猛追がすさまじく、前月比2割増で過去最高の売上に達しました。2ヶ月連続の記録更新ですね。

ゲーム関連では、Amazonの在庫一掃セールの時の『うたわれるもの デスクトップキャラクターズ 初回限定版』『チョコボと魔法の絵本』がそれぞれ売上1位と2位を飾りました。売上トップは『らき☆すた』かなとも思ったのですが、予約分があっさり完売したせいで、売れてません。

本の売上は『連射王』が圧倒的でした。2月の『ミミズクと夜の王』、4月の『ドラグネットミラージュ』以上の勢いです。また『テレビゲーム産業白書(2007)』が今月も売れてますね。(参考:市場を知り、己を知らば、百戦危うからず 『テレビゲーム産業白書2007』)。

1位 連射王川上 稔

書評:ゲーマー必読の名著。ゲームが上手くなる過程を小説化した 『連射王』
青春小説の皮をかぶった、日本初の「読むとゲームが上手くなる」ゲーマー小説。ゲーマーは何故より高いスコアを目指すのか、前人未達の神域に挑むのか。いいじゃないか、ゲームに本気になっても。人生のうちかけがえの無い何割かをゲームに捧げても。後ろめたく感じる必要はどこにも無いのだ。

学校をサボってゲーセンに行ったところを補導され、停学を食らった。家で嘔吐した。起き上がったら徹夜でRPGをクリアした。神域をめざしてゲーム修行を開始した。そんな覚えはあなたに無いか? 他人はそれを「堕落」と呼ぶか。呼ばせておけ、そんなもの。堕落けっこう。無間地獄へようこそ。あなたの「本気」の一直線上に、ゲームがあるのなら、それで十分なのだから。

2位 ドラグネット・ミラージュ賀東 招二

書評:大人のドラマが読みたいあなたに 『ドラグネット・ミラージュ』
先月につづき、『ドラグネット・ミラージュ』が好調なセールス。
異世界セマーニと地球をつなぐ超空間ゲートを前にしたサンテレサ市を舞台に、異世界から来た少女騎士ティラナと敏腕刑事ケイ・マトバがコンビを組んで事件に当たる刑事ドラマ。小島秀夫氏の『ポリスノーツ』や『メタルギア』が好きな人にはぜひ読んでいただきたい!


3位 技術の伝え方(畑村洋太郎)

書評:相手を「伝わる状態」にするのが肝要 『技術の伝え方』
コンスタントな売れ方ではチャンピオン。
「こういう本をもっと紹介していこうと思います」と毎回書いているのに、全然紹介してないですね。そろそろ書くのをやめておきます、はい。すいません。


4位 小説の読み書き佐藤 正午

書評:小説家は小説をどう読むのか? 『小説の読み書き』
「作り手視点の読み方」とはどういうものかがわかる、好奇心をくすぐる一冊。


5位 All You Need Is Kill桜坂洋

書評:リセットし続ける勇者の物語 『All You Need Is Kill』
うちのブログでは、渋い小説が売れるんですよね。まだ売れるか、という感慨もわいてきます、『All You Need Is Kill』。

死んでも前日の朝に戻されるという時間のループに陥った新兵は、出撃と戦死をくり返すうちに、やがてベテランの兵士さえ簡単にひねる最強の戦士に成長していく。死んでも戻され、生き残っても戻される無間地獄から、彼は脱出できるのか。タイムループ物としての完成度が高く、SFファンにはぜひオススメします。


6位 バニラ A sweet partnerアサウラ

書評:百合と拳銃の作家が送る最新作 『バニラ A sweet partner』
にやにや笑いの湧きあがる百合小説と、純度の高い暴力小説の高いレベルでの融合。家族により、社会により追い詰められた少女2人が拳銃を手にした時、不利と不運と不公平を押しつけるゲームへの反撃が始まった。

銃とは暴力であり、この社会において暴力の行使はすなわち犯罪である。それ以外の手段は無かったのか。その問いは無意味だ。何故なら彼女たちはすでにそれを選んだのだから。「それしかない選択肢」を選んだ少女2人を、警察と社会は「それしかない結末」へと追いやっていく。

しかしそれはダメだと吼える警官が2人。弱者に「それしかない選択」を選ばせないために警察はある。ならば、せめて2人に「それしかない結末」を選ばせてはいけない。その正義を信じた刑事2人は、少女たちが立てこもる学校へと走る。だが……。
結末はぜひ自分の目でお読みいただきたい。


7位 アニメがお仕事! 石田 敦子

書評:作ることを仕事にする地獄 『アニメがお仕事!』
双子の姉弟のアニメータを主役にすえた業界物語。
やわらかくかわいらしい絵柄だが、じつにシビアな出来事が続く。安易に夢を見せる内容ではなく、誰もが壁にぶつかり、罠におちいる様子を執拗に描いている。悲惨さを煽る下品さではなく、虚飾でおおう欺瞞さでもなく、おそらくはアニメータ石田敦子自身の経験をもとに描き続けられる、現場で戦い続ける人間の姿。
ぜひともあなたも読んで、「女 怖ぇ」と呟いていただきたい。

妄執の恋獄 『カルタグラ』

カルタグラ

PS2版は倒産したキッドからリリースされていたため、Amazonにはユーズド商品しか在庫が無いようですね。それにしてもこのパッケージ、ヒロインの上月和菜が怖い。ホントはドジっ娘風味で、ウザいぐらいかわいい娘なんですが。売る気あんのか。
18禁版なら、開発元のInnocent Greyのサイトでダウンロード販売されています。
オフィシャル・ダウンロードページ

いかにも京極夏彦を意識しているような戦後すぐの時代背景。繰り返される猟奇事件。美しい女たち。何となく期待感をそそるものの、何となく買い逃していた一品。ついこの間ダウンロード版をプレイしました。

終戦から6年が過ぎた。
娼館の一室に居候している探偵・高城秋五は、警視庁時代の上司から頼まれて、逗子の良家息女の失踪事件を引き受ける。秋五は事件のあった上月家で、かつての恋人・上月由良と同じ顔をもつ少女、上月和菜と出会う。彼女から双子の姉を捜してほしいと懇願されるが、父親である上月慶一郎は秋五に告げた。
「あの娘は、本当は死んでいるんですよ……」

一方、上野の町では陰惨極まる、凶悪な猟奇事件が繰り広げられていた。女性の子宮を喰らい、人体をバラバラに切断する謎の殺人鬼。懸命に捜査する警察の努力をあざ笑うがごとく、殺人は続く。秋五と和菜、悪友の冬史、3人が失踪した由良を捜し求めるうちに、やがて無関係だったはずの2つの事件がつながり始める。

設定だけ見れば、かなり面白げではある。
京極夏彦が好きな人なら、興味を持つのではないだろうか。逆にいえば、期待が高い題材だけに、求められるハードルも高い。率直にいって、期待を越えることはまず無い。しかし今なら格安で手に入るので、値段分は楽しめる。

遊んでみると、驚くほど90年代のエロゲーに近い。儲かってない私立探偵の男のもとに、奇怪な事件が舞い込んできて……というやつである。主人公がなぜかモテて、登場する女の子と次々寝るののも、90年代的である。エロゲーである以上、主人公が理不尽にモテるのは当然で、それは今も変わらないが、次々と食っていく感じはやはり古い。個人的には、この種のレトロ感は懐かしさもあって、好きだが。萌え系ノベルゲームばかり遊んでいる人には不評だろう。

コンシューマーでは発売しにくい、エロとバイオレンスとグロこそ、本来エロゲーの華だったもので、萌え系と陵辱ゲームに二極化しつつある状況で、猟奇殺人とエロスと狂った恋をテーマにした志は、大いに買う。オープニングテーマのタイトルどおり、「恋獄」こそ、このゲームの主題だろう。

どの程度抑えられているかは未確認だが、過剰な表現を嫌う人はPS2版を購入するのをオススメする。血臭ただよう上野の町を、90年代のゲームを思い出しながら、楽しんでほしい。

テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

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