FC2ブログ

 

Latest Entries

軽いゲームと重いゲーム

DS市場は淘汰のフェーズへ

この春から市場の変化が顕在化してきました。
1つは、電撃マーケティング室が分析しているように、3月以降のDSの新作ソフトの店頭消化率が悪化していることです。
3月以降に発売されたDSの新作の店頭消化が総じて伸び悩んでおり、流通在庫が増加傾向にあることです。今年に入って発売された新作(DS)の発売週の消化状況を月別に見ると、1月期は初週消化率が30%に達していない新作が10本中1本(構成比10%)しかありませんでした。それが、2月期には17本中 8本(47%)に増え、3月期には57本中36本(63%)と全体の6割以上に増加。4月期も今週末時点で17本の新作が発売されましたが、その内11本(65%)は発売週の消化率が30%に達していません。
忍之閻魔帳さんもDSの新作ソフトの売上が悪化していると書いています。
4月26日発売のDS向け新作21タイトルのうちの半数以上にあたる13タイトルが販売数三桁以下と、撃沈率が非常に高いのが気になる。先週末にはこれらの新作を早くもワゴンに並べた量販店もあり、DSバブルにもいよいよ淘汰の波が押し寄せているようだ。
DSの販売台数はいまだに10万台越えで推移していますから、市場の活気はまだ持続していると見ていいでしょう。しかしDS景気に煽られて、タイトル数が増えているため、新規タイトルへの注目が分散し、1本当たりの売上が鈍っています。また実用ソフトは長期的に売れる傾向があるため、売場の棚のどこに新作を置き、どこにロングラン作品を置くかという悩みが出てきています。

みんながDSに集まっているといえる状況で、どうやってユーザーの関心を集めるか。ソフトメーカー各社の店頭販促、パッケージの差別化がより重要性を増しています。


続編が売れない実用ソフト

もう1つは任天堂のタッチジェネレーション系タイトルの続編が不調なことです。実売160万本以上の『えいご漬け』、実売60万本以上の『アソビ大全』、実売140万本以上の『やわらかあたま塾』の続編がいずれも低調なスタートを切っています。

もともと長い期間にわたって売れるタイトルではあるものの、累計売上が大きく、認知度の高いタイトルの続編が、初週売上で前作を下回っているのはショッキングな事態です。売れた本数の割りに、タイトルのブランドが浸透していないように見えます。

『もっとえいご漬け』は発売から1ヶ月しても、前作の初週販売数に届いておらず、そのうち売れるという言葉では片付けられません。販売曲線を描いてみれば、明らかに前作を下回る折れ線グラフを描くはずです。
初週売上本数
えいご漬け23万1000本
もっとえいご漬け5万本
アソビ大全6万5000本
Wi-Fi対応 アソビ大全1万本以下
やわらかあたま塾5万2000本
Wiiでやわらかあたま塾約4万本
ゲーム業界で伝統的に続編が多いのは、ある程度の売上が見込めるからです。上り調子のシリーズなら、前作の2割増し、濃いファンがついているなら前作と同数、ナンバーを重ねて飽きられつつあるなら前作の3割減、というように数字の予測がしやすいのですね。前作の6割なら、そのシリーズは衰退したと言われてもおかしくない世界なのです。

もちろん実用ソフトは息長く売れる傾向があります。上記の3タイトルも、累計売上は初週売上の数倍、数十倍に達するでしょう。けれども累計売上で、前作の半分に達するとは到底思えません。

そのうち売れるさ。楽観論を唱えることは可能でしょう。しかし流通在庫が急増し、タイトルが市場にあふれている状況で、小さな兆候を見逃すのは危険極まりない姿勢です。そのうち売れると甘く見て、大量に在庫を抱え込めば、長期間にわたって莫大な流通在庫が発生し、流通は資金繰りが悪化。結局は市場が停滞してしまいます。

人間、いったん成功方程式を見つけた気になると、それにしがみついてしまいます。方程式が通じなくなっても、「いやいや、今のはちょっとした間違い」「うーん。もうちょっと様子を見てみましょう」「いや、これは俺が間違ってるんじゃない。xxxが間違ってるんだ」と考えがち。

たとえば10年前、PS1バブルが崩壊した時、おそらくSCEは危険な兆候を見逃していたのです。ライトユーザーの支持を得て100万本売った『パラッパラッパー』。しかし『ウンジャマラミー』が売れなかったとき、SCEは適切な判断を下せたのか。いえ『パラッパラッパー2』を出しました。そして……。

去年の成功方程式だからこそ、今年は真っ先に疑ってかかる。そういう態度ではじめて「冷静」と言えます。人間ってそれぐらい、一度見つけた成功方程式にしがみつくんです。2007年もすでに3分の1が過ぎました。いつまで2006年のセオリーを唱えてるんだい? 1度頭をリセットして市場を見つめなおしてみましょうよ。


軽いゲームの問題点も表面化

今売れているのは、生活の邪魔をしない手軽なゲームです。消費者の生活サイクルの変化にあったゲーム作りは非常に重要です。しかし一方で、軽いゲームは作品としての強度が低く、作品そのものが後に残りにくいという欠点も抱えています
考えてみれば当たり前です。ボクらは映画を観て、小説を読んで、ある作品の熱烈なファンになることはありますが、参考書やレシピ本を読んでそうなるでしょうか?

ゲームにおいても、根強い人気を誇る作品は、ストーリー性をもったゲームや、何十時間も遊んだことのあるゲームです。徹夜で遊んだゲームが強い印象を残し、そのゲームについて他人と語り合うことでゲーム体験が補強されていく。ファミコン世代のユーザーには、身に覚えのある体験でしょう。

最近コメント欄で書いた文章を引用しましょう。
何となく気になってるのは、「ドラクエとかFFとかマリオとかゼルダを遊んで、将来ゲームを作りたいという子供はいたと思うんだけど、タッチジェネレーションを遊んで、将来ゲームを作りたいという子供は増えそうに無いなあ」という点です。これは作品としての上下を言っているんじゃなくて、「強度」の問題なんです。今は「強度」よりも「鮮度」「軽さ」の時代なんだけど、それが5年、10年と続くとどうなるのかな・・・・という所が、次の大変化につながってくるんじゃないかなと思います。
いつまでも薄味のものばかり提供していたのでは、やがては離れていってしまう。もう少し濃い味つけのものを食べてもらって、徐々に離れられないようにしていく。少しずつ濃いものが求められてきていると思います。

とはいえ、ユーザーに時間が無い状況は変わりません。子供相手なら、数十時間かかるゲームを提供して濃厚なゲーム体験をしてもらえばいいのですが、大人はそうはいきません。DS以前の重たいゲームを出しても、ライトユーザーが手に取ってくれるとは思えませんし、最近はマニアでさえ遊ぶ時間が限られています。

したがってDS以前のゲームがそのままのゲームデザインで、再び主流に返り咲くとは、ちょっと思えません。時代は逆行しないでしょう。かといって軽い方向に偏りすぎると、やはりアンバランスです。軽いゲームの波はきた、ではその次は? そろそろ考えなければいけません。2006年の成功方程式を念仏のように唱えていればいいわけじゃない。

ゲーム系ライターは実際にゲームを作るわけじゃないから、大雑把で古い議論をしたり顔で書いていればいい。でも、いまだに「軽いゲーム万歳」「生活の邪魔をしないゲームを」などと喚いているゲーム制作者がいるとすれば、ちょっと鈍いな。間違いではないが、大雑把すぎ。去年はそういうラフな議論でよかった。今年はもっと精度の良い議論が必要です。

全体として「強度より鮮度」「重さより軽さ」の時代でありながら、コンテンツの洪水に埋もれないような「強度」をどうやって担保するか。そこが大きな課題になります。なかなか難題であり、今ここでズバッと答えを書くわけにもいきませんが、キーワードを並べるなら「繰り返し(リピート)」と「コミュニケーションツール」と「ストーリー(世界観)の共有」ですね。要は、人の中に強い印象づけを残すにはどうしたらいいのか、という事なのです。

スポンサーサイト



テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

«  | HOME |  »

検索



カテゴリー

月別アーカイブ

最近の記事

最近のコメント

連絡先

RSSフィード

忍者カウンター