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リアリティがあるとはどういうことか 『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』

ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー 新井輝
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本来なら昨日掲載する予定だった記事です。
ライトノベル作家の中で面白い会話を書けるのは、なんと言っても西尾維新が断トツでしょう。でも個人的には新井輝の小説の登場人物たちの会話もお気に入りです。1人1人の台詞が特別キャラ立ちしているわけではないのですが、妙に読み心地がいい。そして不思議なリアリティがあります。

読み心地がいいのは、登場人物たちが物語を進めようとしていないからです。それはつまり、物語の要請にしたがって会話していないという事です。しかし実際の会話もそういうものでしょう。なにか特別な方向性があって会話する、なんてことは仕事の時ぐらいのもので、会話というものは脇道にそれていくものです。

ライトノベルというジャンルの特徴として、文章中に占めるかぎ括弧つきの台詞が多い点がよく指摘されます。脇道にそれる会話もじつに多い。ライトノベルの主人公は大抵、中高生、大学生で、この年代の最大の特徴は「だべり」文化です。だべらない若者はいないのです。

しかしこのジャンルの中でも、新井輝作品の会話の軽妙さは特筆すべきものです。脇道にそれる会話は、なんの意味もない、登場人物の感情のゆらぎのほとんど無い、表層的なものになりがちです。けれども新井輝の作品はそうではありません。会話の間に人物の感情の揺らぎが感じ取れます。

実際、ボクらは些細な会話でも、感情の振幅があるわけで、つまり小説の中の会話に感情の振幅が確かに感じられることをリアリティがあるというのです。


『ROOM NO.1301』は本編が8冊、短編集がこの巻を入れて3冊出ています。結構な人気がなければ、ここまで続きません。『しょーとすとーりーず・すりー』では、本編に登場してる人、まだしてない人を主人公にした4つの短編が収録されています。

その中でも傑作は、何と言っても「私と綾さんと不埒な男」でしょう。早く本編に出れるといいですね、鈴璃は。「俺と鍵原とお試しの合コンプレイ」では、鍵原は相変わらずはた迷惑なことをおっ始めますが、ちょっと可哀想な感じも……。いつかは幸せになれるといいんですけど。

書き下ろしの「私と今西先生と本気のお仕事」では、ダメ編集の薫沢がいい味出してます。この人、「ですよねー」連発まくります。あんまり考えずに言ってみるテスト→即、否定→「ですよねー」。なら最初から言うなあっ! と突っ込みたくなります。新井輝は、ちょっと浅はかな感じのキャラを書くのが巧いんですよね。


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よくわからないが面白い小説 『ROOM NO.1301』

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:ROOM  NO.1301  新井輝  

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