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ミステリーの無いミステリー文庫に誕生したゴシックホラーミステリー 『麗しのシャーロットに捧ぐ』

麗しのシャーロットに捧ぐ尾関 修一
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注意
表紙がメイドなので、萌えを期待する人もいるかもしれませんが、1ミリグラムもないので、ご注意ください。


第6回富士見ヤングミステリー大賞で佳作を受賞した作品。ネットを見回しても、どうしてこれが佳作なんだという声が多い、かなり評判の良い小説です。佳作にとどまったのは、ミステリーの無い富士見ミステリー文庫に、まっとうな正統派ゴシックホラー・ミステリーを送ってしまったせいでしょうか?(笑

メイドのシャーロットは、高名な人形作家のフレデリックに仕えていました。彼は仕事の域を超えて、人形を偏愛している変人でしたが、恋は盲目、シャーロットは気にしていません。それに人形を愛している男にも溺愛する妻、ミリアムがいるのです。彼女の世話はフレデリック自らが行い、メイドは直接世話をしていません。食事も部屋の前までは運ぶものの、実際に食べている様子はシャーロットも見たことがありません。

人形への異常な愛情の注ぎ方。そして人前に姿を現さない奥様。そこから導き出される結論は……。
疑念を抱いたシャーロットは好奇心とフレデリックへの恋慕をこられられず、奥様の部屋にこっそり足を踏み入れます。それが恐ろしい惨劇の始まりとも知らず。そして三部構成でつづられる物語の果てに、読者は長い時間をかけて準備された、周到な悪意の存在に気づくでしょう。

あやしいご主人と召使いというオーソドックな設定ですが、テンポの良い文章でスピード感がついたところに、少しずつおかしな感覚が挿入されていき、読者はいつのまにか後戻りできなくなっています。さりげなく忍び寄る恐怖を描き出す、小説家としての巧みな腕前が冴えています。このままライトノベルにとどまるか、飛び出すか。しばらく注目しておきたい作家です。
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タグ:尾関  修一  麗しのシャーロットに捧ぐ  

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